この鉄はなんという鉄?

エレベーターで強度偽装 JFE系商社が鋼材をすり替え (朝日新聞
国土交通省は12日、エレベーター大手のフジテック滋賀県彦根市)が02年以降に製造した1万2000基以上のエレベーターに設計よりも強度の低い鋼材が使われ、うち560基は建築基準法上、強度不足の恐れがあると発表した。鋼材は、大手鉄鋼メーカー、JFEスチール系列のJFE商事建材販売(大阪市)が強度の高い鋼材と偽って納入。偽装された鋼材の取引は、フジテック社員との合意の上だった疑いがあり、国交省は同社に月末までの報告を求めた。
国交省によると、偽装鋼材を使用したエレベーターの強度は最も低い場合で基準の66%程度。建築基準法では3倍の荷重まで耐えるよう設計されているため、通常の運行に問題はない。しかし、震度6強以上の地震でドアのない所で停止した場合、かごを支えているレールがゆがみ、再始動できなくなり、利用者の救出や復旧に支障をきたす恐れがある。同省は、自治体を通じて補強や利用定員の削減を求めた。
強度の低い鋼材が使われていたのはエレベーター1万2727基とエスカレーター634基。エレベーターのガイドレールの補強材「レールバッキング」、人が乗る「かご」を支える「クロスヘッド」、かごの底を支える「プランク」という金具などに使っていた。
JFE側は、納入時の検査証明書の偽造を認め、「フジテック社員と合意の上だった」と説明。一方、フジテックは「すり替えは知らなかった」と反論している。
両社の話を総合すると、鋼材の偽装取引は02年9月から始まった。フジテックの注文書では橋や船舶、車両などに使われる「SS400」という鋼材を指定していたが、JFE側は、強度の劣る「SPHC」鋼材を、「SS400」鋼材として納入し、検査証明書を添えて納めることもあったという。
JFE側は「注文書と異なる商品の納入は、フジテック社員との合意として、歴代引き継がれていた」と説明しているが、フジテックは「確認できていない」という。
偽装の動機として、JFE側の担当社員は「SPHCは納期を着実に守れるので、注文書と違う品を納入した」と答え、金銭のやりとりもないという。
引用元

上記はasahi.comからの引用ですが、新聞には偽装の動機として、JFE側の担当社員は「流通量の少ないSS400に比べ、SPHCは納期を着実に守れるので、注文書と違う品を納入した」と答え、という記述があり、SS400の流通量が少ないということを今朝初めて知りました。
根拠は特になく、なんとなく漠然とですが、高級な鉄=S45C(焼き入れしないなら無意味だが)、安い普及品=SS400だと思っていたので、そこらへんに溢れている鉄素材の殆どは「SS400かなんか」だと決めつけており、この記事で初めて「SS400はそれなりに良い物」だと知り、本気(マジ)で驚いております。アイロニカルな表現ではなく、本当に知らなかったです。
迂闊というか杜撰というか、わたくし、自作車両のフレームに採用しているスチール製角パイプ(40x40mmと40x20mm)の詳細な素材名を知らず(注文するときも「鉄の角パイプ」で通してたし、伝票にも素材名の記載はない)勝手に「SS400かなんかだろ」と思っていたのですが、もしかすると格段に強度が下がるSPHCってヤツなのかもしれません。
ここで頭に浮かんだのが以下の点。
同じ鉄といっても、鋼材屋から購入したフレーム用の角パイプと、ホームセンターで買ってる治具用のアングル(L形の鉄棒というか鉄板)/フラットバーでは、溶接のノリが異なります。
鋼材屋から買ってる角パイプはステンレス並にスムーズにす〜っと溶接できるんですが、ホームセンターから買うアングル/フラットバーは、なんぼ表面をキチキチに磨き上げても(鉄は素材剥き出しだと錆びるので、錆び止め用になんらかの表面加工を施されており、溶接前に取り去る必要がある)なんか不純物が混じっているように「ばちばちっ!」とはねるんです。
なので、鋼材屋から買ってる鉄とホームセンターから買う鉄は、ジャンルは同じ鉄でも微妙に成分が異なっているんだろうとは以前から感じておりました。
それが「それなりに高級なSS400」と「完璧安価な普及品であるSPH」の違いとかそういうのなんだろうか? 鋼材屋に確認すればわかる、というか、それ以外に確認の術はないんですけど、面倒なんでなかったことにしようか・・・・・
我が自作車両の名誉のため書き添えておきますが、たとえあのフレーム素材がSS400ではなかったとしても、強度的な不安はありませんよ。スポークより先に折れるようなフレームは、わしゃぁ作らんぞい。