コンパクトなGPSがほしくなったわけ


渓流沿いの国道を走っていたら、良い感じの旧道が見えたので「どうせ500mぐらいで現道に戻るだろうから、ちょっと入ってみるか」と、空き地に車を停めて徒歩で侵入しました。緑のルートをてくてく歩いていったんです。ところがこの道、旧国道ではなく、見当違いの山奥に向う廃道だったのです。
途中、対岸の岩山に自然とも人造ともつかない穴がありました。立ち木の影になってはっきりとは見えないのですが、それなりの大きさの穴が開いているのは分かります。周囲に何も無い場所なので「人造としても、なんでこんなとこを掘る?」といった感じで、とっても興味を惹かれたのですが、ずぶ濡れになりつつ川を渡る気力がなかったので、次回の課題として残しておくことにしました。
ところどころ崩壊した川沿いの廃道を「さすがにこれは旧国道じゃないよな」と思いつつ歩くこと(たぶん)2時間、やっと上流の集落に辿り着きました。畑仕事をしているおばあさんに「川沿いに溯って来たんですが、ここはどこでしょう?」と訊ねると、案の定、隣村まで来ておりました。
川沿いの旧道を引き返す気力は残っていなかったので、とりあえず村の中心部に向かい、そこからタクシーで自家用車まで戻ることに決めました。おばあさんに「この道を行くと**(村中心部の地名)に行きますか?」と訊ねると「まぁ、そんな感じ」といったニュアンスの返事が返ってきました。
そこから1kmぐらいてくてく歩き三叉路にでましたが、標識に載っている地名すべて覚えがなく、どちらに進んだらいいのか分かりません。もう時刻は午後6時近くで日がかなり傾いてます。
考えても分からない物は絶対に分からないので、三叉路近くのビニールハウスで立ち話をしているおじさんに「**(村中心部の地名)はどっちでしょう?」と訊ねました。
ついでに「距離はどのぐらいありますかね? 歩くとどのぐらいかかりますかね?」と訊いてみると、「5〜6kmかな。いや、もうちょっとあるかな? 歩くとね、峠を2つ越えるから3時間はかかると思うよ」とのこと・・・・・
国道から延々、川沿いの廃道をさかのぼってきたことを話すと「車まで歩いたら、5時間ぐらいかかるんじゃないか? 今から歩いて戻るのは無理だよ。送ってあげるよ」と仰ってくださいました。渡りに船というか、他に選択肢がまったくなかったのでご好意に甘えさせていただく事を即決し、カローラかなんかの助手席におさまりました。
道中「そういえば川沿いの廃道を歩いていたら、対岸に穴が開いているのを見たのですが」と言ったら「あ、あれは自然の穴じゃなくてトンネルですよ。あの川沿いの道が現役だった頃、山向うの集落とあの道をつないでたんですよ」と教えてくださいました。そうか、あれは今流行りの交通系廃墟物件(どうも最近は産業系廃墟より、道路や路線の廃物件の方が人気があるような気がする)だったのか・・・・・
山奥極まりなく、地元か渓流釣り趣味の人以外は立ち入らない場所(私を送り届けてくれたおじさんも、川沿いの廃道には十年以上入ってないそうだ)なので、地元の方以外でその存在を知る人は絶無といってもよさそう。近いうちに調べに行こうかなぁ。
など考えつつ2〜30分、出発地点まで送り届けていただきました。赤いルートがそうです。かなりの距離です。なるべく早く、菓子折りでも持って御礼に行かねば。