中華VM22にキャブヒーターを取り付けたでござるの巻


去年は3月の頭から乗り始めたのですが、3月下旬ごろからいわゆる一つの「張り付き現象」に悩まされました。
それはどんなのか?というと、最近アメリカで大騒ぎしている某メーカーのアレみたいなアレでしてですね、アクセルを戻しても回転数が下がらなくなるというとても恐ろしい現象です。
アクセル戻してもスロットルから手を離しても回転数が下がらないので、そうなったらもうキーを回してエンジンを切っちゃうしかありません。軽症の場合はアクセルを煽る(開ける)と元に戻るですけどね、アクセル開けたら開けたまんま回転数が上がったまんまになっちゃうことも多々あり、なかなか対処が難しいアレでした。
そのまんまじゃ不便というか危険なので、ネットであれこれ検索し「アクセルワイヤーの戻りが悪いから洗浄→注油」と「リターンスプリング*1を強烈なヤツに換える」という対処法を発見しました。このぐらいだったら簡単にできるので即実行。
で結果、何の変化も無い・・・・
「あぁ、困ったな」と思いつつ、騙し騙し乗っていると、5月の連休あたりから張り付き現象が起こらなくなりました。起こらなきゃ起こらないでそりゃラッキー、支障が無いなら対処の必要も無いので、張り付き対策はスカっと頭から消え去りました。
ら、11月ごろになったらまた出た。
で、またネットで検索し「アイシング」なる現象が存在することを知りました。この「アイシング」というのは「気温が低く湿度が高い時」に「吸入空気中の水分が、ガソリンが気化する際の気化潜熱により凍結し、スロットル等が作動不良起こす」*2現象だそうで、発症の最よくよく観察してみるとスロットルバルブが入ってるあたりに結露が見られました。
内部が凍るぐらい冷えてるんでキャブレター表面が結露した。ってことは、この「張り付き現象」はアイシングってヤツでほぼ間違いない。んじゃないかと確信しました。

キャブレターが異常レベルで冷えて支障が出るってんなら、暖めれば万事解決。となるはずです。
キャブレターとマニホールドの間に厚さ5mmぐらいの樹脂製のパッキンみたいなのが入っているんですが(赤い矢印で指し示した部分)、これはエンジンの熱がマニホールド(90度曲がった混合気の配管)を経由しキャブレターに伝わらぬようにするために部品*3、いわゆる一つの断熱材みたいなもんらしいので、これを外しちゃえばエンジンの熱が伝わりキャブレターが暖められるのでは?と考えました。

で、やってみた。
結果、特に変化なし・・・

簡単にできる対処法ではどうにもならんことがハッキリしたので、キャブヒーターなるモノの導入を決意しました。
左の画像のそれがキャブヒーターってのそのもので、SUZUKIの純正部品です。15W/25W/35Wの3種類存在するようですが、どれを選んで良いのかさっぱり解らんので、テキトーに真ん中の25Wを購入してみました。
画像左がキャブヒーター本体で、ネジの規格はM8x1.25です。ネジの長さ(首下長)は12mmでした。
部品番号や値段は、検索すると簡単に発見できます。

キャブレターによってはヒーター取り付けの穴があいてるのもあるようですが、中華VM22にはそれらしい穴はありません。
小さなボディにごちゃごちゃ突起があるので、パッと見ではアタッチメントを取り付けるスペースすら無い*4ように感じます。
ボルトを加工したアタッチメントをフロート室を固定しているボルトにかましてみようかな?とも思ったのですが、それだと接する面積がせまくヒーターの熱が効率よくキャブレターに伝わらないんじゃないか?と思ったので却下しました。

で作ったアタッチメントかこれ。
熱の伝導率が高い銅やアルミがベターなんでしょうが、そんな素材は持ってないし、素材があったとしても加工が出来ないしなので、極々普通の鉄製フラットバーを加工して作りました。鉄は(銅やアルミと比較して)温まり難いけど冷め難くもあるので、まぁなんとかなるかな?って感じです。
ガソリンをかぶる可能性が高いので、耐油性の高いホンダ純正の耐熱塗料でシルバーに塗りました。180度の熱で1時間以上(たぶん2時間ぐらい)焼付けたので塗装膜はかなり本格的に頑丈です。
アタッチメント自体が大きいと、外気に触れる面積も増え冷えやすくなるので、表面積が小さくなるよう気を使いました。
んがしかし、キャブレターに接する面積が少ないと熱が伝わりにくくなるので、キャブレターに接する面積は極力広くなるようにも気を使いました。

取り付けるとこんな感じ。M6のボルト1本で固定します。
昨秋、結露して汗をかいていた(=内部が凍結していた)スロットルバルブのあたりにヒーターの熱が伝わるようレイアウトしました。
いろんなものがあるので、アタッチメント周りのクリアランスはかなり微妙です。1mm大きくなったら支障が出る、そのぐらいごちゃごちゃしています。

純正エアクリーナー接続口が空いていたので蓋を作り、パイロットランプとサーモスタットを取り付けました。
サーモスタットはキャブレターの近くが良い(実際の温度がわかるから)のでここで全然OKなんですが、パイロットランプ(ヒーターがONになると点灯する)はメーター周りのほうが便利、走行中でもON/OFFがわかるから、とも思ったのですが、ががが、プラスチック製のヘッドライトケースに大穴(10mmぐらい)をあけるのが嫌だった(割れるかもしれない)ので、この位置で妥協しました。
走行中に見えようが見えまいが、まぁ関係ないっちゃ関係ないですし。

ということで目出度くキャブヒーター取り付けが終了し万々歳。これであの嫌な張り付き現象から解放されるぞ!
と思いつつエンジン周りを眺めてみると、横型エンジンってのは走行風がモロにキャブレターに吹き付けるんですよね。
せっかくヒーターで暖めても走行風で冷やされたら効果が減るんじゃ?という気がしてきました。
一般的な縦型エンジンなら、ヘッドとシリンダーが衝立となり真正面から走行風が吹き付けることはない(側面からはくるのでもちろん無風ではない)ので、ヒーターを取り付けるだけでOKだと思うんですけどね。横型はちょっと違うんじゃないかと。

ということでキャブレター用の風防を作りました。
この状態だと解放状態の下方(赤い矢印で指し示した部分)から走行風が吹き込みフロート室を直撃するので

下方も塞ぎました。
マニホールド周りに若干隙間があるので、走行風を完全には防げてはいませんが、そこまで神経質にならんでも良いんじゃ?と、無いよりは全然マシじゃん、と前向きに考え、風防はこれにて完成ってことにしました。
ちなみに、これも鉄製です。デイトナの耐熱スプレーを吹き、200度ぐらいの熱で2時間ぐらい焼き付けたので、塗装膜はかなり頑丈です。



この風防、よく考えてみると「マニホールドの冷却フィン」として働きキャブレターから熱を奪う可能性がある、ような気もします。が、キャブレターが直接風にさらされるよりはマシじゃん?という気もするので、まぁこのまんまでOKってことにします。

ただ作れば良いってんじゃなく、各部の干渉なんかもちゃんと考える必要があります。
例えばチョークレバー(赤い矢印で指し示した部分)がぶつからないかどうかとか、そういうのも考えつつ製作を進めます。

キャブヒーターは25Wもの電力を消費するので常時入れっぱなしにするつもりはありません。
サーモスタットが付いているので高くなればヒーターは入りませんが、たとえ気温が低くても湿度も低ければ張り付き現象は起こらないので、手動でもOFFにできるようスイッチを取り付けました。
張り付きっぽくなってきたらスイッチをいれヒーターを動作させる。そんな感じで運用しようと考えています。

全部取り付けるとこんな感じ。
ごっちゃごっちゃです。

ヒーターが動作するとパイロットランプが点灯します。
エンジンをかけ*5スイッチをONにすると、意外と早くアタッチメントが温まりました。指先で触ってもはっきりと熱いぐらいに温まります。
問題は、その熱がどのぐらいキャブレターに伝わるかなんですが、それは実際に運行してみなきゃ解らない。



これで張り付き現象から解放される予定なのですが、もしダメだったらどうしよう・・・・・

*1:VM22はスロットルバルブを開くのはアクセルワイヤーだが、閉じるのはスプリング。

*2:引用元

*3:「エンジン熱によってガソリンが沸騰してしまう現象」(引用元)=「パーコレーション」を防ぐ。

*4:コーキングかなんかで貼り付ける方法もあるようだが、簡単に付け外しできないので嫌だ。

*5:エンジンをかけなくても、キーをONにすればヒーターは入るが、バッテリーが弱るのでやらない。